統合失調症 再発を防ぐには (TDC member writing)
統合失調症は長期にわたる治療が必要で再発しやすい傾向にあります。再発を防ぐための治療として以下の3つがあります。
・薬物療法
・神経認知機能のリハビリテーション
・社会認知機能のリハビリテーション
服薬による治療、リハビリテーションによる治療が主になっています。以下にそれぞれについての詳細を説明します。
薬物療法
統合失調症の治療の中心となる薬を「抗精神病薬」といいます。主に脳内で過剰に活動しているドーパミン神経の活動を抑えることを目的にしています。
抗精神病薬は定型抗精神病薬(従来型)と非定型抗精神病薬(新規)の2種類があります。定型抗精神病薬は陽性症状に効果があり、非定型抗精神病薬は陽性症状に加えて陰性症状や認知機能障害に対しても効果が期待できます。
また、抗精神病薬以外にも抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬といった個別の症状を調整する薬が処方されたり、抗精神病薬の副作用を抑えるために抗パーキンソン病薬や便秘薬といった薬が処方されることがあります。
注意点として、薬には再発を予防する作用があります。症状が良くなっても勝手に自分で薬をやめず主治医の指示に従って服薬しましょう。また、薬を毎日服薬するのがつらい場合は2週間~4週間続く持続性注射剤を選ぶ事ができるので、服薬に関しては主治医とよく相談して決めましょう。
神経認知機能と社会認知機能のリハビリテーション
統合失調症のリハビリテーションとしては、社会・生活技能の回復を図るソーシャルスキル・トレーニング(SST)、実際の軽作業やレクリエーションなどを通じて職業的技能を養ったり、生きがいや楽しみを見出すための作業療法が主となります。基本的にはどちらも楽しみながら行う方が効果がある傾向にあります。もし合わなかったり、つまらないと感じた場合は主治医や作業療法士に相談するようにするのが良いでしょう。
また、認知機能へのアプローチを行う治療もありますのでそちらも紹介します。
ソーシャルスキル・トレーニング(SST)
病気によって低下した社会技能や生活技能を回復するための援助技能がSSTです。一般的にグループによるロールプレイ(それぞれの人に役割を与えて演技する)形式で行われます。
統合失調症になると対人関係に自信がなくなったり、コミュニケーションの機会が限られてしまうという問題が出てきます。
そこで患者さんと医療スタッフが、日々の生活の場面を想定したロールプレイを行う事で、苦手な事を克服していきます。
作業療法
作業療法は薬物療法の前からある歴史の長い療法です。作業療法士の指導の下に手芸や園芸、料理、木工、パソコン作業などの軽作業を通じて、楽しみや充実感や達成感を再体験し、日常生活技能や社会生活技能の回復を目指します。
認知機能へのアプローチ
統合失調症では、認知機能(記憶力、集中力、計画能力、実行力など)が低下します(認知機能障害)。認知機能を改善するため、パソコンの専用ソフトを使った治療があります。
また、認知のゆがみ(極端な考え方など)を修正する認知行動療法も行われることがあります。
まとめ
統合失調症の治療方法として服薬とリハビリテーションの2つがあります。服薬治療が主になりますが、統合失調症の治療は長期になる傾向があります。そのため、服薬については症状が良くなっても自己判断で服薬をやめるのは避けましょう。また、毎日の服薬が苦手な人には持続性注射剤もあります。主治医と相談して自分にあった服薬方法を選択しましょう。
また、リハビリテーションの方法としてSSTと作業療法が主になります。どちらも楽しみながら行う事で効果が上がる傾向にある手法ですので、「つまらない」と感じたり自分に合わないと思ったら、作業療法士や医師に相談して自分にあうリハビリ方法を見つけましょう。
また、認知のゆがみ(極端な考え方など)を修正する認知行動療法や認知機能の改善にパソコンの専用ソフトを使った治療もあります。
それぞれの手法をうまく組み合わせて社会・生活技能の回復ができるように取りくめると良いと思いました。
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